ADI オーステンパ

ADI オーステンパ

ADI(Austempered Ductile Iron)処理

ADI処理とはオーステンパを施した球状黒鉛鋳鉄処理の略称です。鋳鉄材料は安価で、型鋳込みにより自由に形状を作成できますが低い強度が欠点でした。そこで高強度、高靭性、高延性、耐摩耗性などを付与するため、オーステンパ処理により鍛鋼品と同等の特性を持つ強靭鋳鉄ができます。

特徴

  • FCD450は引張強さで1000MPa以上、伸びで約8%以上と鍛鋼品に匹敵する強度が得られます。
  • 金属組織がベイナイトと黒鉛混合になるため特に耐摩耗性に優れています。

新型ADI設備の外観と仕様

新型ADI設備の外観と仕様
  • 使用温度:Max930℃
  • 雰囲気:RXガス、プロパン(エンリッチ)
  • 処理重量:グロスMax650kg

処理前後のミクロ組織

処理前(パーライト+フェライト+黒鉛)

処理前(パーライト+フェライト+黒鉛)

ADI処理後(ベイナイト+黒鉛)

ADI処理後(ベイナイト+黒鉛)

当社水戸工場では1992年からオーステンパ処理加工を開始し高層ビル向け建築用継手、トラック用アイドラーギヤ、JR向け新幹線橋脚補強用定着金具など数々の重要部品を手がけて参りました。


国内ではADI処理加工を行っている企業も少なく、
当社では今まで培ってきた基本技術及び経験を活かし、
今後もお客様の満足・信頼を得る製品作りに邁進してまいります。

製品使用例

建築用継手

建築用継手

鉄筋継手取り付け作業状況

鉄筋継手取り付け作業状況

球状黒鉛鋳鉄品

種類の記号 引張強さ(MPa) 伸び(%) 参考
硬さ(HB) 主要生地組織
球状黒鉛鋳鉄品 FCD400 400以上 15以上 130~180 フェライト
FCD450 450以上 10以上 140~210 フェライト
FCD500 500以上 7以上 150~230 フェライト+パーライト
FCD600 600以上 3以上 170~270 フェライト+パーライト
FCD700 700以上 2以上 180~300 パーライト

オーステンパ球状黒鉛鋳鉄品

種類の記号 引張強さ(MPa) 伸び(%) 参考
硬さ(HB) 主要生地組織
オーステンパ
球状黒鉛鋳鉄品
FCAD900-4 900以上 4以上 277〜352 ベイナイト+残留オーステナイト
FCAD900-8 900以上 8以上 248〜352 ベイナイト+残留オーステナイト
FCAD1000-5 1000以上 5以上 280〜388 ベイナイト+残留オーステナイト
FCAD1200-2 1200以上 2以上 341以上 ベイナイト+残留オーステナイト
FCAD1400-1 1400以上 1以上 401以上 ベイナイト